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保育園で実施すべき感染予防【新⼈保育⼠の気づき】

更新日:2021年12月06日


保育⼠⼀年⽬あるある「何かしらの感染症を園からもらう」


こんにちは!30 から保育⼠になった男、しー先⽣です。
とうとう私も保育⼠⼀年⽬の洗礼を受けてしまいました…。
胃腸⾵邪にかかり、丸 3 ⽇出勤できない状態に…。
⼀年⽬は感染症への耐性がないため、新⽶保育⼠は感染症に罹りやすいとよく⾔われますが、
それでも業務に⽀障が出るので、なんとか感染は最⼩限に抑えたいところ。
今回の感染を機に、今⼀度主な感染経路の確認と、その予防法を確認しておきましょう!


感染経路⼀覧


◆⾶沫感染
感染している⼈が咳やくしゃみ、会話をした際に、病原体を含む細かい⽔滴(しぶき)が⼝から⾶ぶ。こ
の細かい⽔滴(しぶき)を⾶沫と呼び、近くにいる⼈が吸い込むことで感染する。⾶沫は 1-2m ⾶び散る
ので、2m 以上離れていれば感染の可能性は低くなる。

◆空気感染
感染している⼈が咳やくしゃみ、会話をした際に、⼝から⾶び出した病原体がエアロゾル(気体中に浮遊
する微⼩な液体または固体の粒⼦と周囲の気体の混合体)となり感染性を保ったまま空気の流れによっ
て拡散し、同じ空間にいる⼈もそれを吸い込んで感染する。空気感染をする⿇疹や⽔痘が教室で発症す
れば、未罹患でワクチンを受けていない⼈が感染し、発症する可能性は⾼い。

◆接触感染
感染している⼈に触れることで伝播がおこる直接接触感染(握⼿、だっこ、キスなど)と汚染された物を介
して伝播がおこる間接接触感染(ドアノブ、⼿すり、遊具など)がある。病原体の付着した⼿で⼝、⿐、⽬
を触ること、病原体の付着した遊具等を舐めること等によって、病原体が体内に侵⼊する。

◆経⼝感染
病原体を含んだ⾷物や⽔分を摂取することで感染する。⾷事の提供や⾷品の取り扱いに適切な衛⽣管理
が必要である。また、ノロウイルス感染症や腸管出⾎性⼤腸菌感染症など、便中に排泄される病原体が、
便器やトイレのドアノブに付着していて、その場所を触った⼿からも経⼝感染する。

◆⾎液・体液感染
通常の⽣活では感染は起こらず、濃厚な曝露(性⾏為、針刺し事故など)があった場合にみられる。ただし、
幼少児においては接触が濃厚であること、湿疹などの⽪膚病変を持っていたり、怪我をして⽪膚に傷が
あったりすることも多いことから、⾎液や体液を介した感染が起こりうる。

◆⺟⼦感染
妊娠中に⺟親の胎内で⺟親から胎児に病原体が感染し、流産、早産、児の先天的な障害につながる場合が
ある。また出産時に産道で⺟から児に感染する場合もある。さらに⺟乳中に含まれている病原体が授乳
により⺟から児に感染する場合がある。

◆節⾜動物感染
病原体を保有する昆⾍(蚊など)やダニがヒトを吸⾎する時に感染する。蚊の種類によって 産卵する場所
や、活動する時間帯が異なる。植⽊鉢の⽔受け⽫や古タイヤなど⼩さな⽔たまりに産卵するものと、池や
湖、⽔⽥など⼤きな⽔たまりに産卵するものがある。


感染予防法⼀覧


◆⼿洗い
適切な⼿洗いでは、⼿⾸の上まで、できれば肘まで、⽯鹸を泡⽴てて、流⽔下で洗浄する。⼿を拭くのは
個⼈持ちのハンカチや布タオルあるいはペーパータオルが望ましい。ハンカチや布タオルを使⽤する場
合は共⽤を避ける。個⼈持参のタオルをタオル掛けに掛ける場合 は、タオル同⼠が密着しないように間
隔を空ける。 尿、便、⾎液、唾液、眼脂、傷⼝の浸出液などの体液に触れた場合は必ずきちんと⼿洗い
をする(汗はこの限りではない)。⽯鹸は液体⽯鹸が望ましく、容器の中⾝を詰め替える際は、残った⽯鹸
は捨て、容器をよく洗い、乾燥させてから、新たな⽯鹸液を詰めることが望ましい。

◆咳・くしゃみへの対応
⼝、⿐をティッシュなどで覆い、使⽤後は捨てる。ハンカチなどを使う場合は共⽤しない。唾液や⿐⽔が
⼿についた場合は流⽔下で⽯鹸を⽤いて洗う。ティッシュやハンカチのない場合は、⼿ではなく、袖や上
着の内側で⼝や⿐を覆う。⾶沫感染する病原体は、患者側がマスクをつければ予防効果は⾼い。また、患
者側だけでなく、周囲の⼈もサージカルマスクあるいは不織布マスクなどをすることによってある程度
の予防が可能である。ただし、特に2歳未満や障害のある場合のマスク着⽤は、誤嚥や窒息などの危険性
があるため注意が必要である。

◆嘔吐物・便の取り扱い
嘔吐物は、ゴム⼿袋、マスクをして、できればゴーグルを着⽤し、ペーパータオルや使い古した布で拭き
とる。拭き取ったものはビニール袋に⼆重に⼊れて密封して、廃棄する。嘔吐物や下痢便のついた⾐類な
どは廃棄するか、0.1%次亜塩素酸ナトリウムなどで消毒する。消毒剤の噴霧は効果が薄く、逆に病原体
が舞い上がり、感染の機会を増やしてしまうため、⾏わない。処理後、⽯鹸、流⽔で⼿を洗う。不顕性感
染者(感染しているが無症状の者)は⾃分⾃⾝が病原体を排出していることに気付かず、感染源となること
がある。このため、下痢でなくとも排便後の⼿指の衛⽣管理には注意を払う。おむつ交換は、⼿洗い場が
あり⾷事をする場所等と交差しない⼀定の場所で実施する。おむつの排便処理の際には、使い捨て⼿袋
を着⽤する。交換後、特に便処理後は⽯鹸を⽤いて流⽔でしっかりと⼿洗いを⾏う。交換後のおむつはビ
ニール袋に密閉した後に蓋つき容器等に捨てる。保管場所は適宜消毒する。

◆⾎液・体液 の取り扱い
本⼈には症状がないにも関わらず、⾎液、体液にヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B、C 型肝炎ウイルスなど
の病原体が含まれていることがある。このため、全ての⾎液や体液には病原体が含まれていると考え、防
護なく触れることがないよう、次の予防を⾏う。
・⽪膚に傷や病変がある場合は絆創膏などで覆う。
・⿐出⾎や傷⼝などに触れる場合は、使い捨て⼿袋を着⽤し、終了後は⼿洗いを⾏う。
・⾎液で汚染された道具は、⼿袋をつけてペーパータオルなどで⾎液が⾒えなくなるまでふき取り、
0.5%次亜塩素酸ナトリウムなどに 30 秒-2 分浸し、空気乾燥させる。
・唾液などの付着した玩具などは、そのつど洗浄、乾燥する。0.1%次亜塩素酸ナトリウムなどに 10 分
程度浸してから洗浄すれば、肝炎ウイルスの感染も予防できる。

◆部屋の換気
空気感染対策のため、こまめに部屋の換気を⾏う。
・換気回数を毎時 2 回以上(30 分に⼀回以上、数分間程度、窓を全開する。) とすること。
※換気回数とは、部屋の空気がすべて外気と⼊れ替わる回数をいう。
・空気の流れを作るため、複数の窓がある場合、⼆⽅向の壁の窓を開放すること。
窓が⼀つしかない場合は、ドアを開けること。

◆清掃
床、壁、ドアなどは⽔拭きでよい。ドアノブ、⼿すり、ボタン、スイッチなどは、⽔拭きした後、1 ⽇ 1
回の消毒(アルコール類でよい)が望ましい。ただし、ノロウイルスの流⾏期は 0.02%次亜塩素酸ナトリウ
ムなどを使⽤する。 ⼦どもが舐めた、また、よだれがついているおもちゃは洗浄して乾燥させる。 屋外
清掃では、蚊の産卵を減らすために、植⽊鉢の受け⽫や古タイヤなどの⽔たまりをつくらないようにす
る、溝の掃除をして⽔の流れをよくする。

◆調理
⾷材は衛⽣的に取り扱い、適切な温度管理で保管する。病原体が混⼊している可能性がある⾷材はしっ
かりと加熱する。調理従事者の⼿指衛⽣や体調管理も必要である。調理具の洗浄、消毒は徹底し、⽣⾁を
取り扱った後の調理器具では、ほかの⾷材を調理しない。乳児⽤調製粉乳は、70℃以上のお湯で調乳す
る。また、調乳後2時間以内に使⽤しなかった ミルクは廃棄する。⺟乳を介しての感染症もあるため、
保管容器には名前を明記して、ほかの⼦どもに誤って飲ませることがないように⼗分注意する。

◆プール
プールの⽔質基準である 0.4-1.0 ppm の塩素濃度を守る。低年齢児が利⽤することの多い簡易ミニプー
ル(ビニールプール等)についても塩素消毒が必要である。プール前後にはシャワー等を⽤いて体を良く洗
う。排泄が⾃⽴していない乳幼児ではプール前にお尻も洗い、個別のタライ等を⽤いて他者と⽔を共⽤
しないよう配慮する。 プール後は、うがいをして、シャワーで体を洗う。

◆野外活動
緑の多い⽊陰、やぶ等、蚊の発⽣しやすい場所に⽴ち⼊る際には、⻑袖、⻑ズボン等を着⽤し、肌を露出
しないようにする。

◆職員の衛⽣管理
集団⽣活施設では、職員が感染源となることがあるため、職員の体調管理に気を配る。清潔な服装と頭髪
を保つ。⽖は短く切る。また、⾵疹、⽔痘、伝染性紅斑など、胎児に影響をおよぼす感染症の流⾏期には、
⾵しんワクチンや⽔痘ワクチン未接種の妊娠している職員を休ませる配慮が望まれる。

◆予防接種
⽇本では、⼦どもの定期接種としてジフテリア、百⽇咳、破傷⾵、ポリオ、B 型肝炎、⿇疹、⾵疹、⽔痘、
⽇本脳炎、結核(BCG)、インフルエンザ菌 b 型、13 価肺炎球菌、ヒトパピローマウイルス、ロタウイル
スに対するワクチンが実施されている。また、任意接種としておたふくかぜ、インフルエンザ(60-64 歳
の⼀部と 65 歳以上は定期接種)、A 型肝炎、髄膜炎菌、帯状疱疹、狂⽝病、⻩熱に対するワクチンも実
施されており、通常の予防としてワクチンに勝るものはない。職員のこれまでの予防接種の状況を把握
し、予防接種歴及び罹患歴がともにない⼜は不明な場合には、嘱託医等に相談した上で、当該職員に対
し、予防接種を受けることが感染症対策に資することを説明することが重要である。また、感染症発⽣時
に迅速な対応ができるよう、職員および⼦どもたちの予防接種歴および罹患歴を把握し、記録を保管す
ることが重要である。ワクチン未接種の⼦どもには接種を勧める。

最後に・・・


様々な感染対策がありますが、どれか1つだけ⾏えばいいという訳ではありません。
今回わたしが感染した胃腸⾵邪ですが、よくあるアルコールでの⼿指消毒では⼿についた細菌は落ちま
せん。30 秒以上の⽯鹸での⼿洗いが必要とされています。
このようにあらゆる対策を徹底して⾏うことが感染を最⼩限にするためには必要なことです。
やることが多く⼤変に⾒えますが、これを全て⼀⼈で準備する必要はなく、
園⻑や看護師を中⼼に、職員全員が意識的に取り組むことで安⼼できる環境を作ることができます。
少しでもこのページをご覧になっている皆さんの⼒になれればと思っています!
そうはいってもやっぱり不安なことがたくさんあるんです…という保育⼠の皆さん!
そんなときはあしたの保育⼠のアドバイザーにまずはお気軽にご相談ください。
保育に精通したアドバイザーが⼀緒になって何が原因なのか?どうすれば悩みを解消できるのか?を考
えていきます。